さて、解いた着物

 

状態がよければ、HANA ARTS JAPANで、

屏風、掛け軸に再利用する場合は、

職人さんが、利用しやすいように処理してくださいます。

洗濯しない小物類にする場合も、そのままで再利用も可能。

 

布地の再生、ということであれば、

本来ならば、反物(たんもの)状態に戻して

水洗い→伸子張り→糊付け→乾燥→湯のし補整

などなど、相当な手間がかかります。

s-サンプル作品P1250003          ☝

伸子張り。 竹の細い棒の両端に針がついていて、

それを布にさして引っ張り、縮みを防ぎます。

我が家でも、祖母は、反物状態に戻さずに、伸子張りをしていました。

50年ほど前のことですが・・・オホホ・・

s-サンプル作品【Yuzo Hamaguchi】湯のし&洗い張り・浜口張整理/浜口雄三

湯のし。 機械で蒸気をあてながら、生地幅を調整。

京都の浜口張超整理さん。

s-サンプル作品【Yousuke Yasuda】染色補正/安田羊佑

京都の染色補正士、安田さん。 国家資格ですぞ。

あらゆるシミ、汚れ、色ムラ等々の布地の難を補整

 

ともあれ、上記のような作業は、

反物や完成品が高価な場合でないとペイしません

また、HANA + MAMA のように、普段着の洋服に

仕立て直す場合は、自宅で洗濯するたびに縮むと困ります。

 

そこで、自分で手洗い→乾燥→アイロン します。

縮緬などは、風合いが減って、残念ですが。

s-サンプル作品P1350077

デリケート用の洗剤で手洗い。 ほとんどの生地が色落ちします。

洗濯機の「手洗い」モードで洗濯することもあります。

洗濯機洗いだと、洗濯ネットに入れて洗うことや、

手洗いモードで回転が少ない(というか揺らしている感じ)ため、

水が十分に布地に回りこまないことがあるので、要確認。

 

s-サンプル作品P1350098

2回ほどすすぎ洗いした後、脱水。

本回転後、1,2,3と数えて終了。

こういう時に限って、宅配便が・・・

電源を切るか一時停止を忘れると、脱水しすぎて、シワシワに・・・

 

s-サンプル作品P1350102

陰干し。日に当てるのではなく、風を通す、という感じ。

干して、風に当てたら、すぐに取り込みます。

そういうときに限って、電話が・・・

電話を終えて気づくと・・・あああっ

乾燥しすぎて縮んでしまっています~~~

 

s-サンプル作品P1350106

急いで、アイロン。

生乾き状態で、幅が均一になるように、伸ばしすぎないように。

s-サンプル作品P1350110

ちょっとわかりにくいのですが、衿部分は、汚れが強く、

洗濯程度では落ちません

表地は、色褪せている場合が多く、縫い込まれている部分との

色の差がはっきり出ます

せっかく、手間暇かけて解いて、洗って、アイロンしても

使える部分は限られています

 

さらには、水洗いをすると、色移りがしてしまう場合があります。

やってみないとわかりません。

s-サンプル作品P1350129

ちょっとわかりにくいのですが、

花の部分は、元は白に部分的に青とピンクがほんのりとした色柄。

手洗いすると、白い部分他の色が滲んでしまいました

せっかく解いて洗っても、このようなこともあります。

 

さらに、さらに、布地が解いてみると、薄い、弱い、ピンホールがある、

織ムラがある、破れがある・・・などという場合も。

s-サンプル作品P1350113 s-サンプル作品P1350112

左上写真:左は今回解いた着物。右は黒留袖。

右上写真:左は今回解いた着物の裏地。右は婚礼衣装の裏地。

今回解いた着物の厚みが少なく、重さも、右の半分。

縮緬の着物地としては、良質とはいい難い。

 

はっきりいって、古い布地を利用するほうが

新しい反物のB級品より高くつきます。

それでも、昔の着物地の色柄は、

今では手に入らない、ほれぼれ~~  が多くあります。

 

ま、なんにせよ、惚れたら負けです。

負けもまた楽し