着物の再生~洗い~
さて、解いた着物
状態がよければ、HANA ARTS JAPANで、
屏風、掛け軸に再利用する場合は、
職人さんが、利用しやすいように処理してくださいます。
洗濯しない小物類にする場合も、そのままで再利用も可能。
布地の再生、ということであれば、
本来ならば、反物(たんもの)状態に戻して
水洗い→伸子張り→糊付け→乾燥→湯のし→補整
などなど、相当な手間がかかります。
伸子張り。 竹の細い棒の両端に針がついていて、
それを布にさして引っ張り、縮みを防ぎます。
我が家でも、祖母は、反物状態に戻さずに、伸子張りをしていました。
50年ほど前のことですが・・・オホホ・・
湯のし。 機械で蒸気をあてながら、生地幅を調整。
京都の浜口張超整理さん。
京都の染色補正士、安田さん。 国家資格ですぞ。
あらゆるシミ、汚れ、色ムラ等々の布地の難を補整。
ともあれ、上記のような作業は、
反物や完成品が高価な場合でないとペイしません
また、HANA + MAMA のように、普段着の洋服に
仕立て直す場合は、自宅で洗濯するたびに縮むと困ります。
そこで、自分で手洗い→乾燥→アイロン します。
縮緬などは、風合いが減って、残念ですが。
デリケート用の洗剤で手洗い。 ほとんどの生地が色落ちします。
洗濯機の「手洗い」モードで洗濯することもあります。
洗濯機洗いだと、洗濯ネットに入れて洗うことや、
手洗いモードで回転が少ない(というか揺らしている感じ)ため、
水が十分に布地に回りこまないことがあるので、要確認。
2回ほどすすぎ洗いした後、脱水。
本回転後、1,2,3と数えて終了。
こういう時に限って、宅配便が・・・
電源を切るか一時停止を忘れると、脱水しすぎて、シワシワに・・・
陰干し。日に当てるのではなく、風を通す、という感じ。
干して、風に当てたら、すぐに取り込みます。
そういうときに限って、電話が・・・
電話を終えて気づくと・・・あああっ
乾燥しすぎて縮んでしまっています~~~
急いで、アイロン。
生乾き状態で、幅が均一になるように、伸ばしすぎないように。
ちょっとわかりにくいのですが、衿部分は、汚れが強く、
洗濯程度では落ちません
表地は、色褪せている場合が多く、縫い込まれている部分との
色の差がはっきり出ます
せっかく、手間暇かけて解いて、洗って、アイロンしても
使える部分は限られています
さらには、水洗いをすると、色移りがしてしまう場合があります。
やってみないとわかりません。
ちょっとわかりにくいのですが、
花の部分は、元は白に部分的に青とピンクがほんのりとした色柄。
手洗いすると、白い部分他の色が滲んでしまいました
せっかく解いて洗っても、このようなこともあります。
さらに、さらに、布地が解いてみると、薄い、弱い、ピンホールがある、
織ムラがある、破れがある・・・などという場合も。
左上写真:左は今回解いた着物。右は黒留袖。
右上写真:左は今回解いた着物の裏地。右は婚礼衣装の裏地。
今回解いた着物の厚みが少なく、重さも、右の半分。
縮緬の着物地としては、良質とはいい難い。
はっきりいって、古い布地を利用するほうが
新しい反物のB級品より高くつきます。
それでも、昔の着物地の色柄は、
今では手に入らない、ほれぼれ~~ が多くあります。
ま、なんにせよ、惚れたら負けです。
負けもまた楽し