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フランス・パリ<エスパス・ジャポン>での展示会に、
前もって一つだけ荷物を送りました。
テーブルクロス用の布と柿渋染め大判和紙など、大きいけれど、
安価か、使い古したものばかり。
船便とSAL便は、日数がどれぐらいかかるかわからない。
便利なはずのEMS便は避けて欲しい、と会場側から言われました。
どうやら、EMSのフランス国内の郵便を委託されている配達業者
<クロノポスト>がひどいらしい。
それで、きちんと届かないトラブルが多発。
そういえば、以前、フランスの友人から贈り物が、届いた時は、
外側だけで、中身は空っぽ。
驚いて連絡したら、「ああ、そう。 大したものじゃないから。」と
あっけらかんとした返事。
そこで、少々高いが、安全を考えて、航空便に
中古品なので、0円でもいいのだけど、日本の郵便局では、「保証されるから」と
内容品に価格をつけておくように言われたので、全部で、18,200円で申請。
関税はかかっても20%と聞いていたのに、な、な、なんと、89€
内訳を見ると、関税10€、付加価値税20%、通関手数料15€
今までバンバン、海外に送っていたけど、こんなに取られたのは初めて。
それにしても、付加価値税が20%だとすると、1€=284円の計算に・・・
オカシイじゃないの、とエスパス・ジャポンに尋ねてみると、
エ:「そういうものなんです。 価格を記載されなければよかったですねぇ。
それでも、どうなったかは、わかりませんけど。」
私:「いや、それにしても、20%の計算がおかしくないですか?
エ:「送り主が書いた料金は関係ないみたいですよ。 フランス側が、これぐ らいの価値だろう、と思った金額に20%をかけるみたいです。」
私:「は? じゃ、申告の意味はないし、担当次第じゃないですか。」
エ:「そうなんです。無料のこともあるし、とんでもない高額のこともあります。
いずれにしても、ひどく高額じゃなかったし、無事に着いただけ、ましです。
よかった、よかった。 立替ておきましたからね。 来られたら支払ってください。」
日本の郵便局さん、保険料が云々などと
真面目な対応をしているのは日本ぐらいみたいですよ。
すべて自分の都合で処理するぐらいのエエ根性でないと
グローバルとは言えないようです
フランス・パリ展示会 ②
フランス・パリ 10区でのHANA ARTS JAPANの展示会<WA・BI>
会場はココ。
⇓
隣は、警察署で、連日、腕を拘束された人が前を通ります。
中はこんな感じ
エスパス・ジャポンは、カルチャーセンターがあり、日本文化の紹介をしています。
そのための教室が奥にあり、日本文化に興味がある方々が訪れます。
展示可能なスペースは、教室までの通り路なので、皆さんがついでに立ち寄ってくださる、
というわけです。
入り口を入ると、細長いギャラリースぺ―スがあり、なんとなく、京都の町家風です。
ただ、外観からもわかるように、ギャラリー部分は、木の横桟状になっていて、
欧米のサイディング風です。
なんで? と訪ねると、理由は2つ。
1つは、この桟の間に板をはめて展示用の棚にする、天井照明の場所も移動できる。
ふむ、ふむ、それは便利で大きなメリット。
もう1つは、木の内装は日本っぽいでしょ、という改装時のデザイナーの考え。
いや、それは、違うでしょう・・・ 日本は雨が多いこともあって縦残が多い。
特に内装は、板の場合、木目が平行で落ち着いた雰囲気を醸し出す<柾目>が好まれ、
節があって、賑やかな木目は。あまり使われて来なかった。
ですので、どう考えても、この賑やかさは、京町家の雰囲気は出ない。
さらには、和紙の照明器具や掛け軸などと喧嘩してしまいます。
そこで、ちょっと内装と展示に工夫をしました。
その様子は次回に・・・・
フランス・パリ展示会 ①
5月の連休明けに、フランス・パリで展示会をしました
掛け軸、照明、陶芸、和布の服、和雑貨、和紙、と盛り沢山です。
パリったって、知り合いは1~2人。
しかも、工芸品、服飾、インテリアとは無関係、または興味なし。
だったら、どうして、どうやってパリなのよ、というと、
長くなるので、知りたい方はご連絡ください
ところで、パリは、昨年11月のテロ事件以来、
安全とは言い難い状態との報道。
そこで、渡仏までに、再度、危険度が増すような状況に陥った際には、
取り止めても損害を最小限にとどめられるように、旅行キャンセル保険に加入。
そういう保険もあるんですね~
海外での展示会は、2014年のアメリカ・カリフォルニア州バークレーに続いて2回目。
展示会場は、パリ10区にある<エスパス・ジャポン>。
OVNI(オブニ)という日仏新聞社のスペースです。 OVNIというのは、
Objet Volant Non Identifie=未確認飛行物体、の略だそうです。
場所は、パリ市内の北東部。
近くには、サンマルタン運河があり、散歩にはうってつけ。
ミュージアム、服飾雑貨やクラフト店舗は見かけませんが、
セーヌ川周辺の高い食事に、舌も財布も疲れたら、お薦めの場所です。
比較的安価で美味しいお店がたくさんあります。
近くには公園もあります。 スーパーで仕入れたランチをのんびりいただきます。
会場については、次回に
伝統工芸と建築
超ご無沙汰です。 なんとか生きてます。
理由(いいわけ)は、ボチボチとお伝えします。
先週末、四天王寺さんに行ってきました。
大阪で建築に関わる設計士さんや職人さんが、伝統工芸を
もっと知ってもらおう、親しんでもらおう、という主旨で
『器プロジェクト』を立ち上げておられて、そのイベントが
ありました。
地下鉄「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」から南下すると「中之門」があります。
入ってゆくと周囲は、高層ビルに囲まれています。
風格のある六時堂があり、雨模様でしたが、アジアをメインに
観光客が結構いらっしゃいました。
南西の方向に「ハルカス」が見えます。
おみくじは、どうやら、木の枝ではなく、所定の紐に括りつけるようです。
ちょっぴり見学の後、イベント会場の「本坊・客殿」向かいました。
イベントは7月8日、9日とあり、8日は、美しい「極楽浄土の庭」を
見ながら抹茶と和菓子がいただけるようでした・・・
が、現世であくせくしており、極楽には行きそびれました。
入り口には、警備の方が。
門をくぐるとさらにその奥に門が・・・
本坊はまだ、一部工事中で、奥の門の先にある
プレハブが出入り口でした。
越前の手漉き和紙<本鳥の子>のお話をうかがいました。
ご説明くださるのは、伝統工芸士の柳瀬さん。
午前中は、貴重な<本鳥の子>を使った、ミニ襖パネル作りの
イベントがあり、午後から、制作の様子をビデオでご紹介
いただきながらのお話でした。
左が、伝統工芸士の柳瀬さん。
2人で漉くような大判手漉き和紙は、越前のみの技で今や5軒のみ。
<本鳥の子>は、襖紙の最高級品。 ビシッと気合の入った
輝くようなチリ一つない美しい和紙です。
機械漉きは<鳥の子>。<鳥の子>の普及品が<上新鳥の子>。
さらに廉価版が<新鳥の子>。
建築が華美になり、便利になり、設備が充実すればするほど、
建材は耐久性がないペラペラなものに。
以前は、住空間は、伝統工芸の技の集積されたものでしたが、
今や、面影は薄れ、壊滅状態。
器プロジェクト・メンバーの方々の協力作品の和室。
この壁で、大判手漉き和紙の工程を拝見しました。
和紙を始め、伝統工芸の技は、奥が深い。
知ると感動すること、請け合い。
ぜひ、ご自分の足で訪ねて行かれることをお薦めします。
・・・で、ちょこっとでいいので、身近に取り入れると
温かい空間がそこに生まれます~~。
和紙照明の世界
楠秀男さんの、照明具展『October Monn』が
伊丹市立工芸センターで開催中。
楠さんには、5月にHANA ARTS JAPANが開催する
展示会への出展をお願いしています。
楠さんとは、25年ほど前に、初めて設計担当をした住宅の
照明に使わせていただいて以来の、お付き合い・・・
とはいうものの、年賀状のやりとりと展示会に時々お訪ねする程度。
ですが、展示会では、毎回、和紙の美しさが最大限に引き出された
作品にワクワクしておりました。
和紙で照明器具を制作されている作家の方々の中でも、
隅々まで凛とした、成度の高さと繊細さはダントツです。
これらの作品も組み立て式。
組み立てのための部品も光源も設計されます。
シンプルで存在感のある作品ばかりです。
作品に対するコンセプトを、想いとともに説明される楠さん。
和紙を生かすこと、そもそもの灯りのあり方などについて解説。
最近はLEDの作品も多くありますが、なかなか白熱灯のような、
温か味がある色味と雰囲気を出すのが難しい。
また、白熱灯の炎のあかりから感じる本能的な温かさや安心感は、
まだまだ、楠さんをもってしても、LEDでは表現が難しいようです
最近の作品は、ますます、自由で有機的な形に。
その柔らかさがとってもいいので、ぜひに、と
HANA ARTS JAPANのパリでの展示会に出展をお願いしました
なかなか、楠さんの作品が映えるような空間、とは
いきませんが、パリジェンヌのハートを、ワクワクさせること
間違いなし
● October Moon
クスノキヒデオの照明器具展
平成28年1月9日(土)~1月31日(日)
開館時間/10:00~18:00 入館は17:30迄 休館日/月曜日
●パリの展示会
主宰:HANA ARTS JAPAN
平成28年5月10日(火)~5月20日(土)
Espace Japon 12 Rue de Nancy, 75010 Paris, フランス
詳細は、また、お知らせいたします。
パリ散策の旅のおついでに、お立ち寄りください
着物の再生~洗い~
さて、解いた着物
状態がよければ、HANA ARTS JAPANで、
屏風、掛け軸に再利用する場合は、
職人さんが、利用しやすいように処理してくださいます。
洗濯しない小物類にする場合も、そのままで再利用も可能。
布地の再生、ということであれば、
本来ならば、反物(たんもの)状態に戻して
水洗い→伸子張り→糊付け→乾燥→湯のし→補整
などなど、相当な手間がかかります。
伸子張り。 竹の細い棒の両端に針がついていて、
それを布にさして引っ張り、縮みを防ぎます。
我が家でも、祖母は、反物状態に戻さずに、伸子張りをしていました。
50年ほど前のことですが・・・オホホ・・
湯のし。 機械で蒸気をあてながら、生地幅を調整。
京都の浜口張超整理さん。
京都の染色補正士、安田さん。 国家資格ですぞ。
あらゆるシミ、汚れ、色ムラ等々の布地の難を補整。
ともあれ、上記のような作業は、
反物や完成品が高価な場合でないとペイしません
また、HANA + MAMA のように、普段着の洋服に
仕立て直す場合は、自宅で洗濯するたびに縮むと困ります。
そこで、自分で手洗い→乾燥→アイロン します。
縮緬などは、風合いが減って、残念ですが。
デリケート用の洗剤で手洗い。 ほとんどの生地が色落ちします。
洗濯機の「手洗い」モードで洗濯することもあります。
洗濯機洗いだと、洗濯ネットに入れて洗うことや、
手洗いモードで回転が少ない(というか揺らしている感じ)ため、
水が十分に布地に回りこまないことがあるので、要確認。
2回ほどすすぎ洗いした後、脱水。
本回転後、1,2,3と数えて終了。
こういう時に限って、宅配便が・・・
電源を切るか一時停止を忘れると、脱水しすぎて、シワシワに・・・
陰干し。日に当てるのではなく、風を通す、という感じ。
干して、風に当てたら、すぐに取り込みます。
そういうときに限って、電話が・・・
電話を終えて気づくと・・・あああっ
乾燥しすぎて縮んでしまっています~~~
急いで、アイロン。
生乾き状態で、幅が均一になるように、伸ばしすぎないように。
ちょっとわかりにくいのですが、衿部分は、汚れが強く、
洗濯程度では落ちません
表地は、色褪せている場合が多く、縫い込まれている部分との
色の差がはっきり出ます
せっかく、手間暇かけて解いて、洗って、アイロンしても
使える部分は限られています
さらには、水洗いをすると、色移りがしてしまう場合があります。
やってみないとわかりません。
ちょっとわかりにくいのですが、
花の部分は、元は白に部分的に青とピンクがほんのりとした色柄。
手洗いすると、白い部分他の色が滲んでしまいました
せっかく解いて洗っても、このようなこともあります。
さらに、さらに、布地が解いてみると、薄い、弱い、ピンホールがある、
織ムラがある、破れがある・・・などという場合も。
左上写真:左は今回解いた着物。右は黒留袖。
右上写真:左は今回解いた着物の裏地。右は婚礼衣装の裏地。
今回解いた着物の厚みが少なく、重さも、右の半分。
縮緬の着物地としては、良質とはいい難い。
はっきりいって、古い布地を利用するほうが
新しい反物のB級品より高くつきます。
それでも、昔の着物地の色柄は、
今では手に入らない、ほれぼれ~~ が多くあります。
ま、なんにせよ、惚れたら負けです。
負けもまた楽し
着物地の再生~解き~
年末掃除で、 衿と袖を取った状態で、
なが~く放ったらかしになっていた古い着物を発見。
HANA +MAMAかHANA ARTS JAPANでの再利用目的の
はずでしたが・・・袋に入ってクシャクシャの状態。
元はこんな感じ。地色がきれいで安価だったので
オークションで購入・・・というのは表向き
実は、気に入った着物1枚を落札していて、
その一枚のために送料を払うのが嫌で・・・
つい、買いました。
50~60年前までは、着物といえば、裏地は赤の
紅絹(もみ)だったようですが、が今では珍しい配色。
柄も優しい色合いで現代の鮮やかな色柄とは違った
雰囲気。 とはいうものの、総合的に見て、
着用するには、難が多いので、解いてリサイクル。
大体、着てゆくところもないし
・・・ということで、何かに再利用しようと解くことに。
こういった色柄は、服にリメイクするにも、なかなか難しいのです。
でも、部分的に利用するなら、いろいろと出来そう。
(わたしがいろいろと出来るかどうかは別として)
なぜ、途中で放ったらかしになっていたか、というと・・・
とにかく、解きにくくて、わたしの手間賃、かかりすぎ
やってられっか
しかし・・・ いやいや、こんなことではいかん
年も改まり、心機一転(大袈裟)再チャレンジ
解き(ほどき)
☝
紫色の白糸は着物の縫い目。 グリーンの黒糸は、普通のミシン目。
最近は着物のミシン縫いもあるようです。 価格は断然、安価ですが、
解くと目の跡が残りやすいし、手縫いの柔らかい風合いは出ません。
とはいうものの、気軽に着物を楽しむには、価格は重要。
昔と違って人件費が高い現代。 その代り、選択肢は増えています。
ところで、件の着物。
解きにくい原因
① 縫い目が揃っておらず、素人縫いのよう(上画像)
② 裏地が薄くて引っ張ると破れそう(下画像)
③ 表地は縮緬で、表面が凸凹しているので、縫い糸を
引っ張っても引っかかって抜くことができない
結果、縫い目を一目ずつ解いてゆくことに・・・
画像のようなリッパ―という糸切りで縫い目を切って
ゆきます。 股の部分がカッター状になっています。
もちろん、ハサミでもよいのですが、布地まで切ってしまい
そうですから。 いろいろと便利グッズはあります
布地に残った糸を、糸ぬきで取って処理。
ああっ 辛気くさっっ
面倒なので、手で引っ張って抜いたりします。 けど、指先が
太いし、老眼で手元もよく見えていないので、結局、糸ぬきを使用。
☝
着物の表と裏は、ざっくりと縫い付けてあります。
色がついて、困ったそうです。
今のように白色系がメインになったのは、合理的でもあるようです。
袖口と裾には、薄い綿がはいっています。
「ふき綿」というそうで、豪華で重厚、柔らかく見せる効果があります。
昔はちょっと裕福な階級に使われていたようですが、
明治頃から一般的になったようです。
今は、一般的にはあまり使われませんが、復活の兆しも
チラホラ。 ちょっとレトロで艶っぽい感じがいいですよね。
くしゃくしゃ状態ですみません・・・・
さて、ようやく全部解けました。
はぁ~しんど・・・
普段の解きの2~3倍ほどの手間暇がかかってしまいました。
着物一枚分の糸と綿。
糸もなるべく長くなるように解いて再利用することもありますが、
古いので切れやすく、手間がかった割には問題になりやすい
特に古い絹糸は弱くなっていますから。
どなたか、再利用方法をご存じでしたら、お教えくださ~い